敵対的TOB、三角合併等々、合併・買収(M&A)に関連したニュースが日
々紙面をにぎわせている。業界推計によれば、昨年、上場企業や非公開企業を対
象としたM&Aは約4000件。今年も業界再編や子会社統合を通じて件数自体
が昨年を上回るのが確実だ。
M&Aに関しては、相手企業(あるいは敵方)の財務を精査するデューデリジ
ェンスが不可欠だが、最近は経営者や役員の資質の「人的デューデリ」も欠かせ
ない要素となっているようだ。
昨年、ある買収案件を手がけた関係者からこんな話を聞いた。「難航を極めた
交渉が、ある日を境に順調に走り出した」というのだ。決め手は、価格面で難色
を示していた被買収企業幹部の携帯電話のメール。この幹部は複数の愛人を抱え
る色男。「経営陣の質」を精査する専門家が、「幹部と愛人の携帯メールの詳細
を水面下の交渉で提示し、事実上屈服させた」というのだ。
どうやってメールの文面を把握したか、取材時の約束で詳細をお伝えできない
が、"専門家"は対象幹部の行動をほぼすべて把握していた。なぜこのような専
門家が活躍し始めているかといえば、「買収やら統合を果たしたあとで、スキャ
ンダルが噴き出すリスクを未然に摘み取るため」(投資銀行筋)だという。
"専門家"は怪しげな街の探偵ではなく、れっきとした企業のプロ。彼ら専門家
を擁する企業は内外に複数存在する。M&A増加と相まって、活躍の場は着実に
増えそうだ。
日進月歩の技術革新。企業のシェア争いや合従連衡の地図は日々塗り替えられ
る。いつM&Aが起こっても不思議ではない。社長さん、そのメールの中身は大
丈夫ですか?
▽あいば・ひでお 1967年生まれ。元時事通信社経済部記者。05年作家デ
ビュー。近著「ファンクション7(セブン)」(講談社)、「デフォルト」(角
川書店・文庫版)が好評。
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