「手助けするつもりは全くなかった」「とても耐えられない状況だった」
死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われている田村浩子被告(61)は、きのう(6月4日)開かれた初公判で涙ながらに無罪を主張しました。
猟奇的な犯行は、親子ぐるみの計画だったのでしょうか。
検察は、浩子被告が娘の犯行を容認したと主張しました。
冒頭陳述で明かされたのは、いびつな家族の関係性です。
▼浩子被告と修被告は、瑠奈被告に対し、幼少のころから叱ったりするようなことはせず溺愛し、成人した後も瑠奈被告の要望には最優先で応え、望むものも買い与えた。
▼瑠奈被告には自宅の3階一室を与えていたが、部屋は買い与えられた瑠奈被告の所有物であふれるようになった。
▼しかし浩子被告らは、瑠奈被告からその所有物に触るなと言われていたことから処分や片付けができず、その後も買い与えた瑠奈被告の衣類などが増え続け、1階居室や2階リビングなどは足の踏み場もないほど、家中に瑠奈被告の所有物が山積みされるようになった。
▼犯行時ごろには浩子被告は、2階リビングの残されたわずかなスペースで就寝し、修被告は近所のインターネットカフェで寝泊まりしていた。
▼瑠奈被告は、中学生のころから不登校を繰り返すようになり、成人後も就職することなく自宅で生活した。
▼瑠奈被告の食事の世話などは浩子被告がしていたが、常に瑠奈被告の機嫌を伺い、浩子被告は毎日のように瑠奈被告の様子をSNSで修被告に報告。
▼瑠奈被告にほしい物や食べたい 物を聞いて、それを修被告に買 って帰るように伝えた。
▼浩子被告と修被告は、瑠奈被告のことを「お嬢さん」と呼び、敬語を使っていた。
▼瑠奈被告は所有物の向きが、自分が置いた位置と違うなどと言った些細なことでも、浩子被告らに叱責。
▼修被告が運転中であっても、その首を絞めて自分の怒りをぶつけるなどした。
▼それに対して浩子被告らは、瑠奈被告を叱ることはなく、謝るなどしてその怒りが収まるのを待っていた。
▼浩子被告は、瑠奈被告から「お嬢さんの時間を無駄にするな。私は奴隷です」「立場をわきまえて無駄なお金を使うな」という趣旨の誓約書を書かされ、奴隷のように扱われても、反論したりせず従っていた。
▼修被告も瑠奈被告から「ドライバーさん」と呼ばれ、瑠奈被告が望めば、ゲームセンターやクラブなどまで車で送迎し、夜通し遊ぶ瑠奈被告に徹夜で付き合った。
▼このように家族の中では、瑠奈被告が圧倒的な上位者であり、わがまま放題に振る舞い、両親は奴隷扱いをされても叱ることはせず、「瑠奈被告ファースト」の親子関係が形成されていた。
▼浩子被告は2023年7月3日ごろには、瑠奈被告が自宅に男性の頭部を隠していることを知ったが、7月24日、修被告とともに容認し生活を続けた。
▼瑠奈被告は浴室で、ビデオ撮影しながら頭部を損壊することを計画。
浩子被告は瑠奈被告から「ビデオカメラで死体損壊作業するところを動画で撮ってほしい」と求められ、実行を容認。
修被告に対してSNSで「撮影カメラマンするでしょ?」などとメッセージを送り、依頼した。
修被告は浩子被告の依頼を応諾し、頭部を損壊する様子をビデオ撮影した。
弁護側の冒頭陳述
弁護側は「警察に通報や娘を出頭させなかったものの、頭部が自宅にあると知っていることをもって、ほう助とは言えない」などと浩子被告の無罪を主張しました。
◇死体遺棄ほう助罪について
▼浩子被告は、瑠奈被告が頭部を自宅浴室に置き続けたことを認識しながら、そのまま生活したことは間違いないが、瑠奈被告が頭部を隠す意思を持っていたとは思ってなく、隠匿を容易にする意思はない。
▼浩子被告は、瑠奈被告をとがめたり、警察に通報するなどのことはしていないが、頭部を隠す行為を容認するような発言も一切していない。
特に何もしないまま生活を続けたことを、死体遺棄のほう助と評価することは不可能で、犯罪は成立しない。
◇死体損壊ほう助罪について
▼浩子被告は瑠奈被告からビデオ撮影をしながら頭部を損壊する計画を立てているとは聞いておらず、認識していない。
▼修被告に対しても、抽象的に撮影を依頼した。
▼瑠奈被告が浴室で頭部を損壊した際、浩子被告はその場にいなかった。
主張が真っ向から対立した今回の裁判。
頭部を自宅に隠すなどした瑠奈被告に、それを容認したとされる浩子被告。
「ほう助」という犯罪が成立するのかが争点となります。
0 件のコメント:
コメントを投稿